Kudun https://www.kap.co.th/ja/ Kudun and Partners | Award-Winning Law Firm in Thailand | Legal Advice with a Business Mind Tue, 06 Jun 2023 09:24:41 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.3.1 https://www.kap.co.th/wp-content/uploads/2020/02/favicon-310-100x100.png Kudun https://www.kap.co.th/ja/ 32 32 タイに投資すべきか、すべきでないか?タイへの投資で法的トラブルを回避するための解決策3選 https://www.kap.co.th/ja/%e3%82%bf%e3%82%a4%e3%81%ab%e6%8a%95%e8%b3%87%e3%81%99%e3%81%b9%e3%81%8d%e3%81%8b%e3%80%81%e3%81%99%e3%81%b9%e3%81%8d%e3%81%a7%e3%81%aa%e3%81%84%e3%81%8b%ef%bc%9f%e3%82%bf%e3%82%a4%e3%81%b8%e3%81%ae/ https://www.kap.co.th/ja/%e3%82%bf%e3%82%a4%e3%81%ab%e6%8a%95%e8%b3%87%e3%81%99%e3%81%b9%e3%81%8d%e3%81%8b%e3%80%81%e3%81%99%e3%81%b9%e3%81%8d%e3%81%a7%e3%81%aa%e3%81%84%e3%81%8b%ef%bc%9f%e3%82%bf%e3%82%a4%e3%81%b8%e3%81%ae/#respond Thu, 01 Jun 2023 10:35:12 +0000 https://www.kap.co.th/?p=17320 コロナ禍後、タイへの外国直接投資(FDI)は増加傾向にあり、FDI流入額および投資促進申請

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コロナ禍後、タイへの外国直接投資(FDI)は増加傾向にあり、FDI流入額および投資促進申請額は前年に比べ36%増加(約130億米ドル)。[1] それに伴い、タイの国内総生産(GDP)は2022年の2.6%から、2023年には最高値の3.7%になると予測されています。[2]

タイ政府によると、昨年のタイへの外国投資は、日本、シンガポール、米国、台湾、香港、中国が上位を占めています。[3] 投資委員会(BOI)の記録によると、2022年の成長率が最も高い分野は、エレクトロニクス、EV・自動車、デジタルでした。

東南アジアの地理的な位置、熟練した労働力、投資委員会のインセンティブ、外国人向けの長期居住ビザの導入など、タイが外国投資にとって魅力的な場所である要因は数多くあります。2022年11月、BOIは投資促進のため、免税、新産業カテゴリー、特別投資ゾーンなど、さらなるインセンティブを導入しました。[4]

このような前向きな金融動向や政府の後押しを受けて、外国人投資家のタイへの投資は上向きとなっています。しかしながら、さらなる投資が行われるところには、さらなるリスクや法的問題、紛争の可能性が存在します。本記事では、外国人投資家がタイで頻繁に遭遇する法的・実務的な「問題」の上位を概観し、リスクを最小化または回避する方法を紹介します。

法律問題1:ライセンス、会社設立、契約上の問題

タイの法律では、タイへの投資を希望する外国企業は外国企業法B.E.2542(1999) (FBA)の遵守が必要です。

以下の表は、外国企業の参入が規制されている3つのカテゴリーの簡単な説明と各カテゴリーに属するビジネスの例です。

リスト1 •  禁止されている外国人 所有権[5] 特別な理由により、外国人の参入が禁止されている事業。

:新聞、農業、土地売買

リスト2 • タイ人が保有する株式の40%以上

•  外国人は、内閣の承認を得て商務省の許可を得なければ、事業を営むことができない。

国の安全またはセキュリティに関連する事業、または芸術・文化、伝統、民俗手工芸、天然資源・環境に影響を与える事業。

:国内航空事業、木彫品製造、鉱業

リスト3 •  外国人は、外国人事業委員会の承認を得て、事業開発局長の許可を得なければ、事業を営むことができません。 タイの事業体が競争できる準備が整っていない事業。

:仲介業、商品の小売・卸売および各種サービス業

 

外国人投資家がタイで事業を行うためには、以下のいずれかを取得する必要があります。

    • 外国人ビジネスライセンス(FBL)
    • BOIからの推進活動に関する外国事業証明書(FBC)
    • タイ工業団地公社(IEAT)から認可された事業のためのFBC
    • 米国とタイの友好経済条約(1996年)などの国際条約に基づくFBC

前述の制限に加え、外国人[6] 特定の例外(BOIを通じて投資促進を得た場合など)[7] に該当しない限り、タイでの土地所有は禁止されています。このような制約のもと、タイでのビジネスを希望する外国人投資家は、タイの企業やタイ人と合弁会社(JV)を設立することが一般的です。

タイ企業とのJVを締結する場合、外国人投資家は将来起こりうる問題を回避するために様々な要素を考慮する必要があります。

    • 契約書
      • 外国人投資家は、通常、JV契約の少数株主であるため、その権利を保護するための契約条項が設けられていることの確認が必要です。例えば、意思決定(株主総会や取締役会に必要な定足数、取締役会の議席数、拒否権など)や会社の運営に関する規定は、外国人投資家がJV会社の経営や運営において役割を維持できるように、慎重に作成する必要があります。
      • さらに、将来の紛争解決シナリオを想定し、デッドロック、解約、紛争解決条項に特に注意を払うなど、先見性を発揮することが重要です。
    • 準拠法および紛争解決条項
      • このような条項の起草には、慎重な注意が必要です。契約書に明記された準拠法は、契約に適用される法的枠組みを決定するもので、当事者の権利と義務も含まれています。例えば、株式譲渡制限や株主総会・取締役会に関する規定は、準拠法によって決められます。さらに、外国人投資家は、選択した準拠法が少数株主の利益を適切に保護しているかどうかを慎重に判断する必要があります。
      • 一方、紛争解決条項は、潜在的な紛争を解決するためのメカニズムを決定するものです。外国人投資家は、紛争が発生した場合に、どの紛争解決メカニズム(法廷訴訟、国際仲裁など)が効果的に自分たちの利益を守れるかを慎重に判断しなければなりません。
      • 長くて費用のかかる法的手続を避けるために、準拠法条項と紛争解決条項の整合性を考慮する必要があります。これらの条項の理解が不十分な場合、作成した契約書の内容が抵触してしまい、不本意にも高額で時間のかかる紛争に発展する可能性があります。
    • 定款(AOA)
      • タイ民法・商法に基づき、企業の業務はAOAに記載された条項を遵守する必要があります。[8] したがって、将来の矛盾や複雑さを防ぐために、JV契約の条項を慎重に検討し、AOAと整合させることが重要です。
    • ノミニーを使用する
      • タイの法律では、外国人投資家がタイ人の名義人株主を利用して権益を保有することを厳しく禁じています。[9]
    • 税務上の留意点
      • タイでJVを設立するには、VAT登録、源泉徴収税、特定事業税、法人所得税など、さまざまな税務上の配慮[10]やBOIが提供する税制上の優遇措置の考慮が重要です。

法律問題2:雇用問題

タイは一般に、労働者の保護を優先する国として知られています。解雇(不当解雇)、退職の強要、給与の減額などに関して、従業員と雇用主の間で紛争が生じることも少なくありません。  外国人投資家がタイの企業や個人とJVを設立する場合、従業員との将来ありうるトラブルを避けるために、以下のタイ労働法を知ることが必要です。

    • 解雇
      • タイの労働法では、雇用主は規定されている条件を満たせば、「普通解雇」又は「懲役解雇」の権限を有しています。[11] しかし、実質的な証拠と有効な根拠がない限り、懲役解雇をすることは実務上困難です。法律では、従業員が「故意に職務に従わない」「常習的に職務を怠る」、または「重大な違法行為」を犯したと認められる場合、雇用主は懲役解雇ができると規定されています。[12]その場合、雇用主は解雇通知書に根拠となる正当な解雇理由を明確に記載しますが、後に理由を変更したり追加することはできません。
      • 普通解雇と懲役解雇では、解雇時に従業員に支払わなければならない金額が異なるため、実務上大きな違いがあります。普通解雇の場合、雇用主は未払い賃金や事前通知期間の給与相当の金額の支払い、解雇補償金、未使用の年次休暇、雇用に基づく支払いなどが必要です。[13] 懲役解雇の場合、理論的には、雇用主は予告手当や解雇補償金に代わる金銭を支払う義務はありません。しかし、従業員からの「不当解雇」申し立ての可能性もあるため、解雇の合理的な理由を確実にしておく必要があります。
      • 実際、タイでは解雇された従業員が「不当解雇」を主張することは珍しくなく、特に解雇補償金が十分でない場合や理由なく解雇された場合は、解雇された従業員が「不当解雇」を主張し、裁判を起こす可能性があります。タイ労働裁判所における訴訟の長期化を避けるため、雇用主は早い段階で法的助言を求め、調停や従業員との和解の可能性を検討すべきです。
    • 契約条件の変更
      • タイ労働法では、雇用主が従業員の同意なしに、従業員にとって不利な雇用条件を変更することは禁止されています。[14] これには、労働時間、賃金、福利厚生、年次休暇、労働条件、勤務地に関する規定が含まれます。
    • 契約書の言語
      • タイ労働法では、雇用契約書の作成(無制限雇用契約の場合)や契約書のタイ語使用を義務付けてはいませんが、実務上は作成することが望ましいと言えます。従業員がタイ人で英語を十分に理解できない場合は、契約書をタイ語またはタイ語と英語の二カ国語で作成することが賢明です。これにより、雇用契約の条件を誤解するリスクや、将来起こりうる紛争を最小限に抑えることができます。
    • リモートワーク
      • 今年3月にタイでは労働法を改正し、雇用者と従業員の遠隔地勤務の枠組みを確立する「在宅勤務法案」を提出しました。雇用主と従業員は、従業員が情報技術(IT)を使ってオフィス外で働くことに書面で合意できるようになり、遠隔地の従業員は職場で勤務する従業員と同等の扱いを受けることができます。[15]

上記の考慮点の上に、雇用主は外国人従業員のビザや労働許可証を手配しなければなりません。外国人従業員の労働許可証を申請するためには、会社は以下の要件を満たしている必要があります:

    • ワークパーミット1件につき200万バーツ以上の登録資本金を有すること。
    • 外国人従業員1名に対し、タイ人従業員4名の比率を維持すること。
    • タイで登記されていない会社の場合は、会社の投資資本が300万バーツ以上であることを証明すること。[16]

但し、必要なBOI許可証を持つ外国企業や外交官、タイでの一時的な事業活動に従事する個人、スマートビザを持つ人など、特定の免責事項に該当する外国人従業員は、免除されます。

法律問題3:コンプライアンス問題

プライスウォーターハウスクーパース(PWC)が実施した調査によると、2022年にタイ企業の約4社に1社が詐欺、汚職、その他の経済・金融犯罪を経験しています。[17]また、この調査では、不正リスクに対処するリスク管理およびコンプライアンス機能を確立しているタイ企業はわずか37%であり、世界標準を下回っていることが明らかになりました。タイ企業が遭遇する不正の種類としては、サイバー犯罪、調達詐欺、資産の不正流用などが一般的です。

タイ企業とJVを締結する外国企業も同様の問題に直面しています。外国人投資家においても、機密情報や企業秘密の競合他社への開示、従業員による小口現金の不正使用や会社資金の横領、公務員への贈収賄など、しばしば遭遇する問題です。通常、このような問題は苦情処理や書類審査、内部報告、内部通報窓口・ホットラインなどを通じて明るみに出ます。しかし、多くのタイ企業には適切なリスク管理やコンプライアンス機能がないため、実際の不正行為の発生件数は報告されているよりもさらに多い可能性があります。タイJV企業内のこうした状況は、外国人投資家、特に大規模な多国籍企業にとって、ビジネスや評判に深刻な影響を及ぼす可能性がある問題点です。

外国人投資家は、不正のリスクを軽減するためにタイのJV会社が適切な報告・遵守手続きのガイドラインを確立していることを、確認することが必須です。明確な方針や手順をマネージャーや従業員に伝え、タイ語で定期的なトレーニングを実施するなどの措置により、発生しうる問題の予防と迅速な解決が可能になります。さらに、従業員が利用しやすい報告ルートや内部通報窓口・ホットラインの導入も必要です。

タイ国家汚職防止委員会(NACC)は、企業に対して、企業およびそのスタッフによる贈収賄を防止するために適切な内部統制対策を実施するようガイドラインを発表しています。[18] 包括的なコンプライアンス・プログラムがあるからといって、賄賂があった場合の責任が免除されるわけではありません。しかし、会社に関係する個人が賄賂に関与した場合、裁判所から緩和要因として考慮される可能性があります。[19]

コンプライアンス・プログラムを通して通知・告発があった場合、会社は様々な懸念に迅速かつ透明性をもって対処することが極めて重要です。効率的かつ効果的なプロセスを確保するために、会社は明確に定義された内部調査計画を持つことが推奨されます。この調査計画には、不正行為やコンプライアンス違反の軽微、かつ、重大な事件の両方が含まれ、調査員や調査範囲、手続き手順、予定スケジュール、外部の法律顧問を起用する必要性などの状況の概要が示されていることが必要です。

賄賂が発見された場合、企業への影響は賄賂の受領者により異なります。タイ法律上[20]、公務員に財物や利益を供与したり、供与を約束したり、供与を申し出たりする賄賂となる行為によって、当該公務員が職務に反する作為もしくは不作為または遅延するよう誘導する行為は違反となります。

汚職防止法が2015年に改正され、外国政府の公務員や公的国際機関の職員も含まれるようになりました。タイにおける贈収賄の罰則は、賄賂の性質と、贈収賄事件に関与する関連当局を管理する特定の法律によって左右されます。

さらに、国家機関への提案書提出を目的とした入札談合などの特定の行為は、犯罪行為とみなされます。[21]

結論

タイには数多くの有望な投資機会があり、その将来は明るいと思われます。しかし外国人投資家は、タイでビジネスを行う際に一般的な課題に留意することが不可欠です。特に上記のようにタイJVを通じて投資する場合には、これらの課題を事前に十分に把握し、積極的に対処することが、タイでの投資目標の実現に寄与します。

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[1] タイ投資委員会 (https://www.boi.go.th/upload/ejournal/2023/Vol33/Jan/index.html#p=1)

[2] タイ投資委員会 (https://www.boi.go.th/index.php?page=macroeconomics)

[3] タイ投資委員会 (https://www.boi.go.th/upload/ejournal/2023/Vol33/Jan/index.html#p=1)

[4] タイBOI、投資家囲い込み、移転、水素自動車への新インセンティブを発表 (https://www.boi.go.th/upload/content/PR106_2565.pdf)

[5]「外国人」とはタイ国籍を有していない自然人、タイ国内で登録されていない法人、および全資本の少なくとも50%が外国人によって所有されている法人 (FBA第4条)

[6] 国土省の典型的な実務を参考にすると、登録資本金の49%を外国企業が保有しているか、外国人株主の数が総株主数の半数以上である場合、外国企業とみなされるhttps://www.thaigov.go.th/news/contents/details/62246

[7] 投資促進法B.E.2520(1977)第27項

[8] 民商法典第69条

[9] 外国人事業法B.E.2542(1999年)第36項

[10] 歳入法の第3章、第4章、および第5章

[11] 民法および商法第582 条および労働保護法B.E.2541(1998)(LPA)第17条

[12] 民法・商法第583条、LPA第119条

[13] LPAの17条、17/1条、67条、118条。LPAに定義される「給与」の範囲については、慎重に検討する必要がある。

[14] 労使関係法 第20条、B.E.2518(1975)

[15] 23/1条LPA

[16] 外国人労働許可証の検討 基準に関する雇用省規則 B.E.2552

[17] PwC「タイ経済犯罪・詐欺調査2022」(https://www.pwc.com/th/en/consulting/forensic/assets/economic-crime-and-fraud-survey-2022.pdf)

[18] NACC「法人における贈賄行為防止のための内部統制措置に関するガイドライン(2017年版)」(http://www.asean-pac.org/wp-content/uploads/2017/11/Guidelines.pdf)

[19] 汚職防止法改正第3版B.E.2558 (2015)

[20] タイ刑法第143 条および第144条、反汚職法B.E.2561(2018年)

[21] 政府入札違反法 B.E. 2542 (1999) の第5項

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国際仲裁とコントロールの輪 – 仲裁の心理的メリットとタイにおける仲裁の現状 https://www.kap.co.th/ja/%e5%9b%bd%e9%9a%9b%e4%bb%b2%e8%a3%81%e3%81%a8%e3%82%b3%e3%83%b3%e3%83%88%e3%83%ad%e3%83%bc%e3%83%ab%e3%81%ae%e8%bc%aa-%e4%bb%b2%e8%a3%81%e3%81%ae%e5%bf%83%e7%90%86%e7%9a%84%e3%83%a1%e3%83%aa/ https://www.kap.co.th/ja/%e5%9b%bd%e9%9a%9b%e4%bb%b2%e8%a3%81%e3%81%a8%e3%82%b3%e3%83%b3%e3%83%88%e3%83%ad%e3%83%bc%e3%83%ab%e3%81%ae%e8%bc%aa-%e4%bb%b2%e8%a3%81%e3%81%ae%e5%bf%83%e7%90%86%e7%9a%84%e3%83%a1%e3%83%aa/#respond Mon, 06 Feb 2023 08:45:38 +0000 https://www.kap.co.th/?p=16550 国際仲裁が当事者にとって望ましい紛争解決方法である理由として、迅速であること

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国際仲裁が当事者にとって望ましい紛争解決方法である理由として、迅速であること、費用が安いこと、プロセスが非公開であること、裁定が確定すること、当事者自治など、多くの理由が挙げられます。

これらの要因のいくつかは議論の余地がありますが(特に非常に複雑な商事案件の場合)、仲裁の当事者が従来の法廷訴訟よりも多くの自治権を持つことができるという事実は、通常議論の余地はありません。

仲裁における当事者自治は、多くの場合、契約当事者が他の紛争解決方法よりも仲裁を検討する重要な要素になります。何故ならばコントロールと確実性を求めることは、人間の生来の欲求であり、自治は安全感と穏やかさをもたらしてくれるからです。

コントロールと確実性の必要性

コロナ禍が経済と多くのビジネスに悪影響を与えたことは間違いありません。また、人々の精神的健康にも大きな打撃を与えました。世界の人・物の動きや経済活動が強く制限されるなか、友人や同僚と社会的距離を置くことを余儀なくされ、より多くの家族が家に閉じこもり、自宅でのプライバシーと個人的な空間の欠如に対処しなければなりませんでした。人によってはウイルスの感染を恐れ接触や社交を一切絶つ人も少なくありません。

ロックダウンと学校の閉鎖は、働く親にとって雇用・働き方の悪化による収入の減少や、オンライン授業を受ける子供の世話・サポートなど、コロナ禍がもたらした日常の

大きな変化に極度のストレスに堕ち、配偶者や子供との言い争いに発展することが多くあり、夫婦の別居と離婚することも珍しくありませんでした。

心理学者は「心理や行動は、良くも悪くも周囲の状況にあわせて柔軟に変化する」と述べています。例えば、予算を守ったり節約したりして金銭をコントロールすると、安心感を得ることができますが、逆にコントロールできないことに目を向けると、その安心感が失われ、不安に陥ることが多くなります。

ストレスを高めてしまいかねないコロナ禍の状況で、事実を知り、ニュースにとらわれず、ウイルスの拡散をできるだけ防ぐことで、ストレスを適切にコントロール・管理することができます。これは人間として、生活の中で特定の要素をコントロールできると自信や安心感を感じるという心理学と強く結びついています。

私たちの身の上に起こる出来事や周囲に存在する物事は、関心の有無、そして影響を及ぼせるか否かで分類することができます。心理カウンセラーは、不安を抱えている人をサポートするとき際に、しばしば「関心の輪」「影響の輪」と「コントロールの輪」いう3つの輪の概念を活用することがあります。

「コントロールの輪」とは、自分の考え、言葉、行動や振る舞い、考え方、決断など、自分でコントロールできるものから構成されています。

「影響の輪」とは、自分が行動することで変化や影響を与えられるもの(人間関係、生活習慣、スポーツの試合に勝つか、ビジネスが成功する等)です。

「関心の輪」は、自分でコントロール出来ない物事(天気、ウィルスの感染者数、景気、自然災害等)が含まれます。

次の図は、上記で説明したさまざまな輪の関係を示しています。

コロナ禍で影響の輪やコントロールの輪に焦点を当てた人は、手の消毒、マスクの着用、リモートワークの手配、オンラインでの友人との連絡など、生活習慣を自分の行動でコントロールしたことで、無数の不確実性とストレスレベルを管理することができ、「新しい日常」にスムーズに適応できたということです。

仲裁は、私たちにコントロールの感覚を与えます

コントロールの輪の概念は、紛争解決のメカニズムを選択する際にも応用することができます。実際、紛争には紛争の期間、費用、結果など、多くの不確定要素があり、大きなストレスとなりかねます。その中で仲裁には根本的な当事者自治の要素が、そのようなストレスを軽減するのに役立つのです。

当事者自治は、紛争が始まる前であっても仲裁手続においては非常に一般的です。契約条項では、当事者は仲裁によって紛争を解決することに同意し、何人の仲裁人を任命するか、仲裁地、どこで仲裁を行うか、どの仲裁機関が仲裁を管理する

かを決定できます。したがって、当事者は将来の紛争に対して一定レベルのコントロールを行使することができ、紛争が発生した場合にも安心感が得られます。

紛争において特定の事柄をコントロールできることは、心理的に重要です。それは、当事者が契約を締結する際に必要とする信頼と安全を提供するだけでなく、紛争が発生した場合に、当事者が(ある程度)何を期待するかを知っているということでもあります。適切に作成された仲裁条項により、当事者は問題をスムーズに仲裁に付託することができ、当事者が選択した仲裁人を選任してそのケースを判断してもらうという、従来の法廷訴訟では得られないプロセスが可能になります。

仲裁プロセスの柔軟性は、契約作成時だけではなく、仲裁手続きの全過程にわたって普及していることも意味します。例えば、ほとんどの仲裁機関規則では、紛争の金額やその他の特定の条件に応じて、当事者が迅速な手続きを選択できるようにする仕組みが用意されています。

多くの仲裁機関は、仲裁をより効率的にし、当事者のニーズを満たすために、その施設やプロセスの改善を常に追求しています。ここ数年、コロナの制限に対応するために仲裁では、オンライン審問が容易に利用できるようになりましたが、オンライン法廷審問は多くの法廷(タイを含む)ではまだ一般的ではありません。

下記の図は、仲裁が私たちの「関心の輪」「影響の輪」と「コントロールの輪」にどのような影響を与えうるかを示しています。

 

タイにおける仲裁の現状

仲裁手段の肯定的な要素にもかかわらず、タイでは仲裁手続きはまだ一般的な紛争解決手段とはなっていません。これには多くの理由がありますが、そのひとつはタイの商業企業にとって仲裁が何を意味し、何をもたらすかについて、まだ認識が不足しているように思われるからです。人々は混乱や紛争が起きたときに確実性や安定性を求めるため、紛争に遭遇したときに慣れ親しんだ伝統的な紛争解決メカニズム、すなわち裁判所を利用する傾向があります。

タイでは仲裁を促進するために幾つかの措置がとられています。

第一に、ここ数年、外国人仲裁人や代理人がタイで働きやすくなるような進展がありました。2019 年のタイにおける仲裁法の改正により、タイの仲裁で選任された外国仲裁人や代理人は、タイの仲裁機関 (タイ仲裁協会 (「TAI」) または タイ仲裁センター 「THAC」) に「証明書」を要求することができるようになりました。この証明書

により、外国の仲裁人や代理人はタイで労働許可証を一時的に取得し、特定の事件に取り組むために一定期間タイに居住することができます。

仲裁人や仲裁実務家を含む裁判外紛争解決の高度なスキルを持つ専門家への「スマート ビザ」の拡張も前向きな進展の一つです。スマート ビザには、労働許可証の取得免除や、スマートビザの配偶者と子供がタイに滞在して働く権利 (一定の条件付き)  など、一般的なビザと比較して追加の特権が与えられています。これらは、仲裁で外国仲裁人や代理人を選任したい人にとって、当事者自治を高める上で歓迎すべき変更です。

第二に、タイの裁判所は仲裁判断を支持し、仲裁判断の執行に対する偽りの異議申し立てを却下することで、より仲裁を支持する姿勢を示し始めています。タイでは、敗訴側が仲裁判断を無効にしたり、仲裁判断の執行に異議を唱えたりする際によく利用する理由が、仲裁判断の執行が公序良俗に反するというものです。しかし、仲裁判断に介入することは、仲裁によって紛争を解決するという目的に反すること[1]、仲裁廷には事案の事実を考慮する裁量があること[2]、裁判所は証拠の許容性や重みに関する仲裁廷の裁量を繰り返し判断できないことを根拠に[3]、仲裁判断を支持した最高裁判所判決が数多くあります。

タイにおける仲裁促進という点で大きな動きを示した最も注目を集めた案件は、ホープウェル・ホールディングス・リミテッド とタイ運輸省およびタイ国鉄の間の案件案件です。この案件で最高行政裁判所は、当事者が国または国家関連団体であるにもかかわらず、ホープウェルに有利な仲裁判断を指示しました[4] 。

第三に、近年、タイの仲裁機関 (TAI、THAC、英国仲裁人協会 (CIArb) など)は、タイにおける仲裁の認知度向上と教育のための活動、セミナー/ウェビナー、トレーニングの開催に力を入れています。

タイにおける仲裁の未来

仲裁の威力と影響力は、決して過小評価できるものではありません。当事者が紛争をよりコントロールできる仲裁に加えて、特にタイでは外国の仲裁判断が外国の裁判所の判決よりも迅速かつ容易に承認・執行されることも大きな利点です。現在、

タイには外国の判決を承認する法律はなく、タイは外国判決の執行を容易にする二国間または他国との相互の執行協定の締約国でもありません。

したがって、当事者が外国裁判所で判決を得た場合、その当事者はタイで改めて訴訟手続きを開始する必要があり、その際、外国の判決を証拠資料の一部としてのみ使用することができます。これに対して 、外国仲裁判断の承認および執行に関する条約 (1958) (別名ニューヨーク条約) の締約国である国で行われた外国仲裁判断は、タイの仲裁法 2545 (2002)に基づきタイの裁判所でより効率的に執行することができます。

仲裁判断の執行を求める当事者は、その判断が執行可能になった日から3年以内にタイの裁判所に執行決定の申請書を提出することができます。 このような申請は相手方当事者から異議を申し立てられる可能性がありますが、タイの裁判所が仲裁法に従って執行を拒否する法的根拠は制限されているため[1]、上記のようにタイの裁判所では仲裁を支持する判決が多く見られます。

仲裁のメリットは当事者だけでなく、経済にも大きな影響を与える可能性があります。外国直接投資(FDI)はタイの経済成長にとって重要な要素であり、多くの外国人投資家はタイの裁判所での訴訟よりも仲裁を好みます。タイで行われる国際仲裁は、外国の仲裁人、弁護士、当事者をタイに引き寄せることもでき、その結果、観光にも促進されます。

シンガポールや香港などでは、ADRメカニズムに仲裁を組み込むことに成功しており、シンガポール国際仲裁センター(SIAC)や香港国際仲裁センター(HKIAC)を経由する仲裁事件の数は、タイの仲裁機関を経由する事件の数をはるかに上回っています。

タイで仲裁がより重要視されるためには、いくつかの障害に対処する必要があります。

第一に、仲裁を契約に盛り込むことの潜在的なメリットに対する認識を高めるため、法学部、企業、実務家の間で、仲裁とは何かについてより多くの研修が必要です。

第二に、タイでの国際仲裁の経験を増やすことが必要です。タイへの外国直接投資(FDI)の増加と、より多くの外国人をタイに呼び込むことを目的とした最近の政府政策に照らして、この要素は重要となってきます。これを実現する方法のひとつは、タイでの仲裁案件に関与する外国人仲裁人や代理人をより多く迎えることです。先に述べた2019年の入国制限の緩和は、この点で前向きな一歩を踏み出したと言えます。

第三に、タイにおける仲裁判断の効率化と執行を改善するために、仲裁判断の執行または異議の申し立てに関する事案は、実際に仲裁経験を積んだ裁判官に任せられ、決定されるべきです。

結論

仲裁による紛争解決には多くのメリットがあり、この記事は、そうしたメリットの1つである仲裁における当事者自治と、これが当事者に心理的にプラスの影響を与えることに焦点を当てました。

仲裁ではコントロールの輪と影響の輪内のいくつかの要素を行使することにより、当事者は紛争をコントロールしているという感覚を持つ事ができます。 これにより、紛争状況では避けられない不安やストレスが軽減されます。

タイの仲裁に関しては、仲裁法の改正や司法の姿勢など、ここ数年見られるポジティブな軌道が続くことが期待されます。 経済が回復し、今後数か月で FDI が増加すると予想されるため、タイで優先される紛争解決メカニズムとして仲裁を検討し始める好機かもしれません。

詳細については、著者または弊所の日本プラクティスチームまで、お気軽にお問い合わせください。

[1] Section 41, 42 and 43 of Thai Arbitration Act B.E. 2545 (2002)

[1] Supreme Court judgment No. 6411/2560 (2017)

[2] Supreme Court judgment No. 1465/2560 (2017)

[3] Supreme Court judgment No. 5560-5536/2562 (2019)

[4] Supreme Administrative Court Case No. 221-223/2562 (2019)

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